「多様な性」についての職場での実践

5年間勤務していた職場から、令和3年4月1日付けで異動しました。

 

小学校で勤務する私が、5年間の間に事務職員の立場として行った「多様な性」についての理解や知識を広める実践について、記録しておきます。

 

①レインボーフラッグを机に置く

卓上のレインボーフラッグを机に置いていました。また、名札にも虹のシールを貼っていました。児童に「旗が置いてある机の先生だ!」って言われたこともあるので、意外と見られてるんだなと思いました。

 

②保健室に本を寄贈する

児童や教職員向けの本を2冊寄贈しました。

養護教諭とは以前からセクシュアリティについて話していたので、

「保健室の本のコーナーに置かせてもらって良いですか?」

「いいよ!」

くらいのやり取りで実現しました。目立つところに置いてもらえました。

 

「ふつう」ってなんだ? LGBTについて知る本

「ふつう」ってなんだ? LGBTについて知る本

 

「「ふつう」ってなんだ?LGBTについて知る本」

は、装丁がキラキラしていて特に人気だったそうです。

この本は図書館向けの本のカタログにも載っているので、寄贈とかじゃなくて学校の予算で買うとしても、購入のハードルは低いのではと思います。

 

③図書館の本として、「多様な性」を取り扱った本を購入リストにいれてもらう。

図書主任と本のカタログを見ながら話して、購入に至りました。図書館向けの本のカタログ読むの面白いので、楽しかった。学校にはカタログが何冊も送られてきています。比べながら検討するのも楽しいです。

 

④職員向けの「事務だより」で取り上げる

給与や予算、備品、就学援助制度、防災など、教職員や学校に関わる内容を取り上げた「事務だより」を発行していました。(たまに)

その中で「多様な性」も取り上げて、当事者性がある子どもが学校で困りやすいことや、「東京レインボープライドに行ってきました!レポ」を載せました。

 

職員の中には話題を振ってくれる人もいましたが、「皆あんまり知識無さそうかな」というのが発行当時の率直な感想です。

嬉しかったことは、同期や先輩の事務職員にも職員向けの事務だよりを発行している方がいて、私が「多様な性について取り上げた」と言ったら「自分も!」と手を挙げてくれたことです。

自分の作った事務だよりやおすすめの本などをシェアして、その人が作る事務だよりについては、声をかけてもらったので、違和感のある表現がないか等の確認をさせてもらいました。

皆頼もしいよ…!

 

⑤学校保健委員会に関わる

年に二回、保護者(希望者)と教職員向けに学校保健委員会というものが開催されています。

養護教諭が「多様な性について取り上げたいんだけど、誰か講師を紹介してもらえないかな?」と言ってくれたので、勤務地のある市町村含め様々な場所で講演をされている先輩を紹介しました。うちのボスもその方が話す人権研修に参加したことがあったそうで、賛成してくれました。当日までのやりとりは私がやっていました。

 

⑥図書ボランティアさんに絵本を紹介する

定期的に各クラスで絵本の読み聞かせをしてくれるボランティアさんの中で、普段からよく話す方がいました。

「最近こんな本を手にいれたんですけど…」って言いながら貸して、6年生のクラスで読んでくれることになりました。

 

ふたりママの家で (PRIDE叢書)

ふたりママの家で (PRIDE叢書)

 

 

「皆静かに集中して聞いてくれたよー^^」

と言っていたので良かったです。

 

⑦校務分掌「多様な性・LGBT教育」の担当になる(R2年度)

ボスが代わり、校務分掌が新たに作られました。

いままで「人権教育」の中に含まれていたのが細分化した形です。(他にも色々増えてたのでそういうのが好きなボスだったんだと思います)

養護教諭が主任、私が副主任になりました。

この担当になったことで、以下の取り組みを任されることになります。

 

⑧教職員研修で「性の多様性」について話す

コロナ禍ということもあり、外部からの講師を呼びづらい状況がありました。

市教委からも教職員、児童向けに「多様な性」について集会や研修で取り上げろというお達しがきていたこと、ボスが「やろう!」と乗り気だったことで、実現しました。

事前に複数の本で勉強したり、

にじーずの公開講座「「性の多様性」を前提とした学校づくり」で埼玉大学渡辺大輔先生のお話を聞いたりして、スライドや読み原稿を作りました。

研修は30分で、充分な時間は取れませんでしたが

基礎知識、学校における支援の事例、国内の調査、教科書について、相談やカミングアウトをされたら?、相談窓口、教育現場でできること、参考になる本、マンガ、資料など盛りだくさん詰め込みました。

なんとなく、この研修があってから皆の意識が変わった気がします。

 

⑨高学年の道徳の授業にT2として参加する

前述の通り児童向けにも取り上げるようにというお達しがあったので

道徳の授業で「いろいろな性ってなんだろう?」を取り上げました。5年生2クラス、6年生2クラスで担任と一緒に授業にでました。

 

授業の資料は

認定NPO法人ReBitが無償で提供しているアライティーチャーズキットの内容を少し変えたりしながら作成しました。他にも色々書籍を参考にしつつ。時事ネタなども。

 

打ち合わせをし、各クラスの担任のやりやすい方法(普段授業で児童からどのように意見を聞いているのか、ICTの使用の状況など)に合わせて授業を行いました。

不慣れで難しかったのですが「私たちは性の多様性を知る必要がある」というような意見が児童から出たりして、やって良かったと思いました。

しかし時間配分とか下手すぎるとか、反省はたくさんあります…。

 

⑩新一年生の氏名印の色を変えた

これは他の職員から意見がでたことなのですが、

今まで、勤務校で教員が使う氏名印は男子とされている児童が水色、女子とされている児童がピンクでした。

色を変えているのは、保健関係の書類などで押しやすいためのようです。(名簿は基本男女混合です)

 

性別関係なく一色にしてしまっても良かったのですが、今の職員が異動などで入れ替わった場合に、経緯を知らない担任が例えば「女子の氏名印にだけ赤い印をつける」ことが起きるかもしれないという意見がでて

妥協案で黄色とオレンジにしました。(児童は卒業まで目にすることがない、教員が使うものなので妥協案に乗りました )

「今まで深くは考えずに水色とピンクにしていましたが、今年度研修で学んだこともあり、色を変えます」

って、さらっと教務主任が打ち合わせで職員に共有して、特に異論もでませんでした。

 

この他にも、学校保健委員会のあとに養護教諭のサークルに紹介してもらったり、同期の勤務校で研修を行う際に講師を紹介したり、普段からジェンダーポリスをやってたりしました。

今の勤務校では「保健室に本を寄贈する」くらいしかまだ出来ていないのですが、徐々にできることを増やしていけたらいいなぁと思います。

 

みなさま良いGWをお過ごしください!